ウレタンフォームの基礎知識
ウレタンフォームと地球温暖化対策
ウレタンフォームとは、平たく言えば断熱材のことです。ポリウレタンという合成樹脂(プラスチック)を壁面などに取り付けるもので、住宅リフォームのTV番組などで施工している場面を目にした方もいるのではないでしょうか。
そもそも、住宅や工場などの建造物に断熱材が施工されるのは室内の気温を外に逃さないようにするためです。室内の温度を調整するには電気などのエネルギーが利用されていますが、断熱材がない建造物だと調整した温度が外に漏れ出して無駄になります。断熱材があることで温度が外に漏れなくなるため、温度を一定にするために必要なエネルギーが少なく済みます。
主に地球温暖化対策などについての国際的な取り決めを行い、2005年に発行された京都議定書の目標達成計画には、住宅の省エネ性能向上が具体的な対策として掲げられています。そうした背景のもと、多くの建築物で断熱施工が行われており、ウレタンフォームの需要も高いものとなっています。
ウレタンフォームの原料と断熱の仕組み
ウレタンフォームは、硬質ウレタンフォームまたは発泡プラスチック保温材とも呼ばれています。また、ボード状に加工されているものと、現場で壁・天井に吹き付けながら施工するものがあります。
原料としては「ポリイソシアネート」という化合物と「ポリオール」という化合物が混ぜられており、そこへ化合物同士の化学反応を調整する「触媒」、発泡させるための「発泡剤」、均一な形・大きさの泡をつくるための「整泡剤」が加えられ、泡化反応と樹脂化反応を同時に起こさせることで均一なプラスチック発泡体を作り出しています。
こうして作られる硬い泡は一つ一つが独立した気泡であり、その中には熱を伝えにくいガスが封じ込められています。この構造によって、ポリウレタンフォームは高い断熱性能を得ています。また、吹付け施工のものは小さい隙間にも材料が入り込んで発泡するため建物の気密性が高くなり、さらに保温機能が高いものとなります。
ウレタンフォームの安全性
ウレタンフォームは、原料の状態ではそれぞれ取扱に厳重な注意が必要ですが、施工されているものに危険性はありません。また、多くは難燃性になる添加物が入っているため、火災などによってすぐに燃えてしまうということもありません。
もし火事などによって燃焼した場合は有毒性のあるシアンガスが発生しますが、それより先に木造品が燃えて一酸化炭素ガスが発生しているので、ウレタンフォームの方での危険性はあまり重要視されていません。