幕の内弁当の特徴や由来

江戸のお芝居から現代まで続くお弁当の定番

今でもお弁当の定番となっている「幕の内弁当」は、もともと江戸時代の芝居小屋で発展してきたものが、徐々に広がっていったものです。
もともとは芝居の間熊に役者や裏方のスタッフさんが食べるための弁当が、観客にも販売されるようになり、人気を博していきました。
そのため、幕の内弁当の特徴としてはその場で捨てられる容器に入っていることがあります。この幕の内弁当が、今でも日本で使い捨て容器のお弁当が販売されている源流となっていると言えるでしょう。
なぜ名前が「幕の内」なのかは、お芝居の役者が幕の内側で食べたからだとか、芝居小屋のお客さんが幕の合間に食べたからだとか、いろいろな説があります。
前頭以上の力士のことも「幕内」や「幕の内」と言いますが、これは江戸時代に強い力士が将軍がいる幕の中に入るのを許されたことからです。そのため、幕の内弁当の名前の由来とは直接関係があるとは言えないようです。

俵型おむすびのご飯が原型

今では普通にご飯が敷き詰められているお弁当が多くなっていますが、昔の幕の内弁当は小さな俵型のお結びがご飯として入ってました。
今でも、ごはんが俵型になっていたり、似たような感じに型どられたお弁当があるのはその名残です。
梅干しがご飯の上に乗っていることもありますが、これは幕の内弁当が由来というより、後の時代の「日の丸弁当」の影響が大きくあります。
アルカリ性食品の梅干しを入れることで栄養バランスがとれますし、特に戦時中は日本の国旗に見立てた縁起物としての意味もありました。
衛生面で考えると、梅干しには殺菌効果などがあるのですが、梅干しの周囲のご飯にしか影響が及ばないものです。
夏場は弁当が傷みやすい時期ですが、梅干しを入れておけば安全が大きく高まるというわけではありません。

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「松花堂弁当」とは由来が違う

幕の内弁当と似たようなお弁当として、「松花堂弁当」があります。
こちらも、ご飯があって、多種多様なおかずが入っていて彩りが良いという点で共通しています。
しかし、こちらは発祥・由来が京都の懐石料理にあります。
そのため、おかずとおかずの間がきっちり四角く仕切られていたり、京野菜を使った煮物などのおかずが多かったりといった特色があります。
幕の内弁当のほうが、若干現代の私たちになじみやすい、庶民的なおかずが使われる傾向が多く見られます。
しかし、今ではどちらのお弁当にも日本古来のおかずではないコロッケやエビフライなどが入っているなどしていますし、両者の境界線もあいまいになってきています。